目次
なぜ新規事業にマーケティングが必要なのか
新規事業に取り組む際、マーケティングを疎かにする=失敗リスクの限りない増大を意味します。
「質の良い商品を提供すれば勝手に売れる」「良い製品はそのうち世間が気付く」と言う経営者もいますが、残念ながらそれは勘違いです。
質の高い製品が売れるのではなく、顧客ニーズのある製品が売れるのです。
どれだけ質の高い製品であっても、顧客の購買意思がなければ売れることはありません。
仮にメディア等で取り上げられて一時的に売上が伸びたとしても、流行は一過性であり、場合によっては誤ったマーケティング認識を企業に与え、結果的に経営にマイナス影響となることもあります。
新規事業におけるマーケティングとは、顧客ニーズがどこにあるのか適切に見定めるための必須作業であり、戦略立案の根本なのです。
マーケットに合わない事業をゼロにする
マーケティングとセールスの壁を取り払う
日本初、顧客のPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を行う会社。
PMFコンサルティングで市場にマッチした新記事業を立ち上げましょう。
新規事業でよくある失敗パターン
日本国内だけでも新規事業は日々生まれ、どんどん潰れています。
新規事業の失敗では、規模にもよりますが何百万円、何千万円、時には何億円という規模の損失にもつながります。
にもかかわらず、実に93%もの新規事業が撤退を余儀なくされています。
なぜこのような失敗が起こるのか、マーケティングの観点から考えていたいと思います。
ターゲットが不明瞭なままリサーチをかける
製品の購入の対象者となるターゲット像の仮説ができていない場合、データを取りたいリサーチ対象がズレてしまう恐れがあります。
ここでは、想定されるユーザーのペルソナをどこまで具体的に絞り込めるかが鍵になります。
ターゲットのユーザーはどのような人なのでしょうか?
「性別」「年齢」「仕事」「家族構成」「趣味嗜好」「可処分所得」「情報源」など、具体的に想定することでユーザー像を固めていきます。
そして、顕在化している課題は何か、潜在的なニーズは何だろうか、想像を膨らませます。
このペルソナ設定を間違えたり、イメージだけで進めたりすると、効果的なリサーチができず、意味のない情報ばかりが集まるので注意しましょう。
例えば、どれだけ歩いても疲れないビジネスシューズを開発して売りたいと考えた時、次のAとBどちらにインタビューするのが適切でしょうか?
A:通勤や営業等で移動が多いビジネスパーソン
B:在宅勤務主体で移動の少ないビジネスパーソン
これは恐らくみなさん「A」と考えるはずです。
つまり、誰だったら使いそうなのか、どんな人に購入意思があるのか、を考えていくことが意義のあるリサーチを行うには必要なのです。
興味のない層にマーケティング調査を図っても、良いリードを獲得することはできません。
ニーズがなくて売れない
「きっと売れるだろう」「これは良い製品だ」とイメージだけの先入観で開発を進めた先に待っている赤字パターンであり、最も多い失敗事例です。
実際、いざ販売を開始してみると、市場にニーズがなくて売上が伸びない事態に直面している企業を多々見かけます。
これらも顧客や市場のニーズ検証不足が原因です。
自社の社員や顧客、友人などの身近な関係者だけに「これ欲しいと思う?」「こういう製品あったら使ってみたい?」と聞いて「よしいける」と判断するのは早計です。
ニーズの検証を行う際には、以下の3点に気を付けましょう。
- リサーチする相手はターゲットとして相応しいか(ペルソナ適正)
- ターゲットは市場にどのくらいいるのか(市場規模)
- きちんとターゲットにリーチできるのか(販売手段)
まず大前提として、検証するに相応しい相手なのか冷静に考えましょう。
情報がターゲットに届かない
ターゲットを想定してニーズに刺さりそうな製品を開発できたとします。
しかし、重要なのはその先です。
リーチしたいターゲット層に認知されないことには売れないのです。
事前のペルソナ分析で、該当ターゲット層がどのように情報に接触し、情報を収集しているか、そのチャネルを把握することが必要と述べたのはこれが理由です。
せっかく製品のプロトタイプができ、それを検証してもらいたいと思っても、その相手がいなければ事業が行き詰まることもあります。
どのようなチャネルで情報をターゲットに届けるのが効果的か、事前に検討を重ねましょう。
昨今ではクラウドファンディングやSNS等様々なメディアを活用し、ターゲットとなる顧客層へ購買意思を訴求するパターンも出てきています。
外部環境に負ける
市場規模があり、ニーズもあるにもかかわらず新規事業の参入に失敗することがあります。
その大きな理由の一つに、既存の競合が強過ぎて太刀打ちできないパターンがあります。
同じビジネスモデルで戦った場合、シンプルに強い方が勝ちます。
競合他社の牙城を切り崩すほどのパワーがない限り、同じ土俵に立てば競り負けてしまいます。
同じような製品で戦うのであれば、顧客のどのようなニーズにピンポイントで刺さるのかなど競合との差別化のポイントを明確に打ち出しましょう。
もちろん、その差別化されたポイントの先に顧客ニーズが十分にあることが前提です。
参入当初は一時的な目新しさでスタートダッシュができるかもしれませんが、結局従来の競合に顧客を取られてしまい失速することになります。
失敗要因の大半は検証不足
事前の市場調査、想定ターゲットのペルソナ分析などのマーケティング調査は、ビジネスの感覚を掴んできて勢いに乗ったビジネスパーソンほど疎かにしがちです。
地道で泥臭い仕事かもしれませんが、この土台を固めないことには成功確度の高い新規事業を作ることはできません。
新規事業を成功させるためにも、事前のマーケティングは確実に行いましょう。
新規事業においては、マーケティングこそが基本であり、この基本を疎かにしてはいけないと肝に銘じておきましょう。
そもそもマーケティングとは?
ここまでマーケティングが重要だと何度も述べてきましたが、結局のところマーケティングとはなんなのでしょうか?
マーケティングの神様とも呼ばれた経営学者ピーター・ドラッカーの言葉を借りるなら「マーケティングとは販売を不要にするもの」と定義されています。
この言葉は「マーケティングとは顧客が買いたいと思う状態を作るもの」解釈することができます。
そして、この言葉を要素分解すると以下のようになります。
<マーケティングとは>
- ターゲットとなる顧客を見極めること
- 顧客のニーズを正しく読み取ること
- どうすれば製品がターゲットに届くか考え、実行すること
新規事業マーケティングに活かせるフレームワーク
新規事業立ち上げを進める際は、様々なデータを定量的、定性的に獲得していくことが必要です。
自社の優位性や他者との立ち位置を確認する上で使用頻度の高い、基本的なマーケティングフレームワークをご紹介します。
STP分析
市場構造を把握し、ターゲットを絞ることに適した手法です。
分析を進める際はユーザー目線を意識し、客観的に進めていきましょう。
- Segmentation(セグメンテーション):市場構造を細分化
- Targeting(ターゲティング):狙う市場の決定
- Positioning(ポジショニング):立ち位置の明確化
ポジショニングマップ
比較したい領域の中で、自社と競合他社の立ち位置を視覚的に把握する手法です。
自社がどの軸なら優位性を保てるか、どの領域を想定顧客とするか考える際に役に立ちます。
上記のSTP分析と併用することで、より効果的な活用が期待できます。
<作り方>
- ポジショニングマップの軸を縦と横の2軸で選定する
- 自社と競合他社(の製品)をマップ上にプロットする
3C分析
参入したいマーケティング環境を整理、把握することに長けた手法です。
下記の3つのCをもとに分析を進めていきます。
- Customer(市場、顧客):市場規模、成長性、ニーズなど
- Competitor(競合):競合企業、寡占度、参入障壁、他社戦略など
- Company(自社):MVV、自社リソース、強み、弱みなど
3C分析で得た外部環境、内部環境への理解はSWOT分析への応用も効果的です。
SWOT分析
自社の外部環境と内部環境を4つの観点で要因分解し、後に自社がとるべき戦略を検討する手法です。
SWOT分析で得た理解は、経営方針やマーケティング戦略を立案するシーンでも役立ちます。
下記の要素を相関的に分析することで、既存事業の改善点や差別化のポイント、新規事業の柱となるアイデアを得ることができます。
- Strength(強み):自社の長所、得意な領域や内的ポジティブ要因
- Weakness(弱み):自社の短所、苦手な領域や内的ネガティブ要因
- Opportunity(機会):自社に好影響を与える外的ポジティブ要因
- Threat(脅威):自社に悪影響を与える外的ネガティブ要因
PEST分析
自社を取り巻く外部環境が、現在から将来にかけてどのような影響を及ぼすかを中長期的に予測するためのマクロ環境分析です。
市場環境を5年〜10年といったスパンで捉えていく際に役立ちます。
PEST分析では下記の4つの外部環境を抽出して分析対象とします。
- Politics(政治):ビジネスに関連する法規制や政治動向、国際関係など
- Economy(経済):景気動向、為替や金利など
- Society(社会):社会的価値観、人口動態など
- Technology(技術):ビジネスに関連する技術動向など
PEST分析は中長期的な事業戦略を策定する際に役に立つ考え方ですが、短期的な予測には向いていない点は考慮しましょう。
クラウドファンディングを活用したテストマーケティング
近年、資金調達の新たな方法として注目を集めているのがクラウドファンディングです。
ファンドなどから一気に多額の融資を受けるのではなく、理念や製品ありきでそこに共感する消費者(支援者)から直接的に支援を得ていきます。
市場やニーズがわかりやすく、実際の使用感も含めテストマーケティングができる点が新規事業との親和性を高めています。
事前にユーザーが確保できることはもちろん、そのユーザーの属性も細かく知れることから活用する企業も増えています。
そもそもクラウドファンディングとは?
クラウドファンディングとは、「群衆(クラウド)」と「資金調達(ファンディング)」を組み合わせた造語です。
金融機関や投資家、ベンチャーキャピタルのような投資ファンドから資金調達をするのではなく、「理念に共感したから応援したい」「製品を使ってみたい」という不特定多数から支援資金を調達する方法です。
一般的な資金調達と比べ、以下のようなメリットがあります
- インターネット上で実施できる手軽さ
- プラットフォームやSNSを活用した拡散性の高さ
- テストマーケティングに使える有用さ
クラウドファンディングをきっかけにユーザーを増やし、そこから接点を持ってデプスインタビューを行う方法もあります。
1on1の対面でインタビューを行い、使用感や感想をヒアリングする方法は仕様を改善するための貴重な情報源となります。
情報が高速で飛び交う現代だからこそ、インターネットを活用した施策は顧客の購買意欲を促進する上でも大変効果的です。
既存手法から脱却する施策の一手として、クラウドファンディングの活用も検討の価値ありです。
身近に活用できるクラウドファンディングサイト
資金調達の手段として注目されるクラウドファンディングですが、どこのサイトで展開するのが効果的なのか?という疑問が湧きます。
それぞれに特徴や得意分野、見ているユーザー層が異なりますので、サイト選びを間違えるとマイナスな結果につながりかねません。
2022年現在、日本国内には30社弱のクラウドファンディングサイトが存在します。
以下の点に着目して選ぶようにしましょう。
- ユーザー数
- 得意なジャンル
ユーザー数
サイトの市場規模を考える上で、ユーザー数は重要な指標です。
多くのユーザーにアプローチできる方が、成功率や支援資金獲得にも好影響を与えます。
ただし、そのユーザーの属性がマッチしていない場合は失敗リスクが高まります。
そもそもクラウドファンディングサイトに登録する時点で多くのユーザーがある程度分類されます。
例えば、新しいガジェット系の購買に意欲的なユーザーが多い購入型に強いMakuakeもあれば、金融型で投資家が多く登録するFUNDINNOなど、サイトによってユーザーの傾向は異なります。
自社の新規事業のターゲットはどのサイトにいそうなのか、事前に調査しておきましょう。
得意なジャンル
クラウドファンディングサイトにはそれぞれに得意なジャンルがあります。
- 種類:購入型、寄付型、金融型など
- ジャンル:販売系、エンタメ系、投資系など
自社のプロジェクトがどこにフィットするのかを踏まえて、クラウドファンディングサイトを検討するようにしましょう。
<参考クラウドファンディングサイト>
【購入型】
Makuake https://www.makuake.com
CAMP FIRE https://camp-fire.jp
kibidango https://kibidango.com
【寄付型】
READY FOR https://readyfor.jp
【金融型】
FUNDINNO https://fundinno.com
新規事業のマーケティング活動はPMFコンサルティングまで
PMFコンサルティングでは、新規事業マーケティングの領域から、プロダクトが購買の軌道に乗るまでの道のりを徹底サポートします。
お客様の事業がPMFを達成し、利益を安定的に出せる環境を作るために、事業フェーズ毎に必要な支援をさせていただきます。
課題解決に向けてPDCAを細かく回し、戦略的な施策を打ちながらKPIを達成していきましょう。
何事も最初が肝心です。適切に情報を整理し、精度の高いやり方を作り上げましょう。