目次
新規事業が思いつかないことのリスク
「新規事業が思いつかないんです」という言葉をよく耳にします。
ビジネスのライフサイクルが短期化する中で「思いつかない」は大きなリスクとなります。
時代と共に人々の価値観やニーズが変化するように、企業もまた常に変化していく必要があります。
うまくいっていた既存の事業がある日、全く動かなくなってしまう。
逆にこれまで全く売れていなかった製品やサービスが、ある日突然売れ始める。
最近であればコロナウイルス感染症拡大が大きな契機となりました。
コロナ禍は世界経済、日本社会、企業や人々の価値観など、世の中に強い影響を与えました。
こうした危機に直面し、頭を悩ませた経営者も多くいたことでしょう。
既存事業を脱却もしくは再構築することで経営の難局を乗り切った企業、新規事業に参入して大きく業績を伸ばした企業、変化に対応できずに沈んだ企業とありました。
新規事業は企業の救世主ともなり得ますが、一方でそのアイデアが思いつかないと悩むビジネスパーソンも多いはずです。
今回はどうすれば新規事業のアイデアが思いつくのか?発想法も交えながらご紹介していきたいと思います。
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なぜ新規事業が思いつかないのか
「思いつかないものは思いつかないんだ!」と声が聞こえてきそうですが安心してください。
思いつかないのにはきちんと理由があります。
どうして新規事業のアイデアが思いつかないのか、自分がどこに当てはまるか考えながら見ていきましょう。
未知の斬新さに囚われている
新規事業=全く未知の新しいビジネスと考えていないでしょうか?
確かにそういったビジネスを生み出すことができれば良いのですが、いきなりゼロベースで新規事業を考えるのはとてつもなく高いハードルです。
また、斬新なアイデアは市場にまだニーズがなく事業化できないというパターンもあります。
こちらはタイミングがハマれば爆発的に成功するかもしれませんが、そうでない場合は新規事業として採用されることは難しいでしょう。
また、仮に採用されたとしても収益を上げることは至難の業です。
にもかかわらず、なぜか多くのビジネスパーソンがこうした斬新な世界を目指してしまい、結果的に心が折れてしまいます。
まずはこの「未知の斬新さ」から離れて考えてみることが必要です。
業界や業種の常識に囚われている
一つの業界や業種に長くいると、いつの間にか当たり前となってしまう慣習があります。
こうした常識にとらわれていると、その枠内でしか発想が回らずに苦しむことになります。
せっかく浮かんだアイデアも「業界の常識的にダメだ」「過去に実績を上げてないからダメだ」と諦めてしまうことすらあるのではないでしょうか。
経験を活かすことも大切ですが、時には業界内の考え方から脱却してみるのも良い方法です。
例えば、今では社会的に当たり前の電子マネーですが、一昔前までは「お金は現物」というのが社会の当たり前でした。
しかし「金融×ITテクノロジー」が新たな価値観を生み出し「お金は現物を扱うのが当たり前だ」という国民の一般論、常識を覆したのです。
他にも現物をデジタル化するDX(デジタルトランスフォーメーション)の手法は多くの領域で支持され、現代社会に活用されています。
このように、一度業界の枠を出て思考を巡らせてみると、業界内の常識は意外と外では関係ないと気づかされるはずです。
自由に意見出しができる環境ではない
発想をしたくないと思わされる環境では良い意見は決して出ません。
何かアイデアを出しても頭ごなしに否定される、すぐに欠点を指摘される、反論・反対されるなど、意見を言い出しづらい環境は即座に改善すべきです。
業界が長い人や頭の回転が速い人などはついアイデアに対して粗を見つけてしまうかもしれません。
しかしアイデアを出すフェーズと欠点を改善するフェーズは別です。
まずは自由な発想こそアイデアの源泉ですので、誰もが発言しやすい環境を整えることが大切です。
入社1年目や2年目の社員が斬新な発想を出してくれるなんてこともよくあります。
アイデア出しに慣れていない
人間誰しも慣れていないことはすぐにできません。
アイデア出しに関しても同じことが言えます。
普段からアイデアを発想することに慣れてないと、いきなり案を求められても何も思いつきません。
アイデアを発想する思考回路は既存の様々なフレームワークをインプットすることで手法を学べますし、そこから思考を習慣化することで鍛えることもできます。
「私はアイデア出しのセンスがないので」と諦める前に、まずは考え方を学ぶことを始めましょう。
慣れるまでは大変ですが、鍛え続ければ必ず面白いようにアイデアを思いつく思考回路になります。
新規事業のアイデアを思いつくために
新規事業のアイデアはどうすれば思いつくのか?
そのきっかけとなり得る、発想のヒントの見つけ方がポイントです。
身の回りにある発想のヒントの見つけ方を紹介していきましょう。
既存事業を分析する
既存事業の場合、既に市場や顧客があり、分析するに足る多様なデータもあります。
そこからは自社の強みや弱みを知ることができるでしょう。
SWOT分析や3C分析、ポジショニングマップなどを用いて自社が目指す方向を定め、そこに対して必要な新たな事業を考えても良いかもしれません。
もしくは分析を進める中で見つかった明確な強みを展開させることで新たなビジネスを創造できる可能性もあります。
その意味でも、改めて自社の強みと弱みを分析し、そこから展開できる事業がないか検討することはアイデアを生むために大変役立つ作業です。
競合他社を分析する
市場を捉える際、競合他社がどのようなサービスや製品を提供しているか知ることは自社との比較をする上でとても重要です。
これまで強力な自社サービスを出していたとしても、1年2年と時が経つにつれて世情が変化し、新規参入してきた他社にその牙城を崩されるということは十分にあり得ます。
つまり、他社の変化よりも先に動くことができれば、そこに勝機と商機が見出されるのです。
また、後発であっても有用なビジネスモデルやノウハウ、成功事例を模倣し自社の事業に応用をかけて展開することができれば、それも立派な新規事業になり得ます。
国内の事例だけでなく、海外で成功している事例も合わせてチェックすることで新たな発見があるかもしれません。
完璧な斬新さは必要ないというのはこの点にあるのです。
身の回りの「不」を考える
世の中には解決すべき問題、様々な「不」があります。
こうした不平、不満、不便、などのネガティブな問題を解消することは、多くの人に歓迎されます。
SDGsのような世界的な問題もあれば、高齢化などの社会問題、企業の人材育成問題など日常に「不」は溢れています。
しかし意識をしないと、なかなかこうした問題に思考がフォーカスされないのもまた事実です。
意識的に「これの不便なところはどこにあるだろう?」と問題を解決する視点で考える癖をつけていくことが大切です。
また、時には自身をその場に置くことで実体験してみることも効果的です。
考えるだけでなく、身をもって味わうことで気づくこともたくさんあります。
情報や経験の引き出しが増えるほど、新たな発想は生まれやすくなります。
アンテナの感度を高くし、意識的に行動して情報に触れていきましょう。
業界や事業を掛け合わせる
新規事業のアイデアが思いつかない時は組み合わせで考えるのも良いかもしれません。
実は新しいアイデアは掛け算で生まれることが多くあります。
大きな商圏を持つ大企業と新しい技術を持ったベンチャー企業が合わさることで新規事業が生まれるケースもあれば、漁業船団×ITで漁業・水産業のDX化の新規事業にチャレンジして成功している企業もあります。
自社を分析し、他社を分析し、様々な情報をインプットしていく中で、こんな掛け算をしたら便利なんじゃないかと思うことが発想のトリガーになります。
最初から否と決めつけることなく、柔軟に世界を思い描くことで新規性のあるアイデアや根本的な問題解決となるアイデアを得られる可能性が高まります。
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アイデア発想のためのフレームワーク
ここまでアイデアを思いつくための行動や思考回路の話をしてきました。
次は新規事業の発想に役立つフレームワークを紹介していきましょう。
ブレインストーミング
複数人で1つのテーマに対し、自由に意見を出し合うことで新たな発想を生み出す手法です。
三人寄れば文殊の知恵と言いますが、まさに複数の頭を使うメリットを集約した思考法です。
ブレインストーミングを実施する際、絶対に守りたいルールが3つあります。
- 質より量!アイデアの質にこだわらない
- 自由な発言が意義!誰かのアイデアを否定しない
- 最後にアイデアを集約!出たアイデアを放置して終わらない
上記のルールとプロセスを守ることでブレインストーミングの効果は最大化されます。
KJ法
大量の情報を効率的に整理する手法であり、前述のブレインストーミングと合わせて使うと効果を上げることができます。
漠然と散らばったアイデアをグルーピングして図解化し、その後文章化することで一つの意味のある集合体に変えることができます。
特に新規事業が思いつかない時などは、まずありったけ情報を出し、量から質を探す作業の方が功を奏する場合もあります。
<使い方>
- ブレインストーミング等でアイデアを付箋等に書き出す
- アイデアをグルーピングしていく
- それぞれのグループの関係性を図解化する
- 図解化した内容を文章化する
オズボーンのチェックリスト
アイデアの改良や応用に向いた解決型の手法です。
※SCAMPER(スキャンパー)法とも呼ばれています。
事前に設定されたチェック項目に回答することでアイデアを深掘りしていく手法となります。
<チェックリスト9ヵ条>
- 転用(Other uses):他の使い道はある?
- 応用(Adapt):似たものがあるか?真似できる?
- 変更(Modify):新しい修正は可能?
- 拡大(Magnify):何か要素を付加できる?
- 縮小(Minify):何か要素を削減できる?
- 代用(Substitute):他のアプローチはある?
- 再調整(Rearrange):既存の要素にアレンジを加えられる?
- 逆転(Reverse):用途を逆転できる?
- 合体(Combine):他の要素と組み合わせたらどうなる?
マンダラート
目標達成へのプロセスを明確化する手法です。
タスクを可視化しやすいため、目標達成までの方法で悩んだ時に効果を発揮します。
アイデアが生まれた後、それをどのように実現するか目標達成までの道のりを視覚化することに優れています。
<使い方>1マンダラート=9マス(3×3)
- 1マンダラートの中央1マスに達成したい目標を記入
- 周辺8マスに目標達成に必要な条件を記入
- その必要な条件を中心1マスに転記したマンダラートを最初のマンダラートの周辺8ヶ所に展開
- それぞれの必要条件を達成するために必要な条件をその周辺8マスに記入
- 合計9マンダラート(81マス)が埋まった状態にする
- マス内の似た要素をグルーピングしていく(重複=重要)
- 重要なものから優先順位をつけて対応していく
それでも思いつかない時は外部の力を借りる!
自分達だけではなかなか思考がブレイクスルーせずに行き詰まってしまった。
急いで新規事業案を考えないといけないのに何も思いつかない。
そんな時は外部の力を借りましょう。
いつもと違うメンバーを呼んで考えてみたり、可能な範囲で外部の人間に聞いてみたりしても良いかもしれません。
しかし良いアイデアは真似されると書いた通り、不用意に情報を外に出せばライバル会社にアイデアを模倣されるリスクも高まります。
そうした事態を回避したいのであれば、外部のコンサルティング会社を頼りましょう。
多様な事例に知見があり、発想のプロでもある新規事業コンサルタントも含めてディスカッションすることは一つの効果的な解決策となり得ます。
新規事業開発といえばPMFコンサルティング
「新規事業のアイデアが思いつかない」
「新規事業がマーケットに受け入れられるのか不安」
「絶対にこの新規事業を成功させたい」
「起業における課題を明確化したい」
PMFコンサルティングでは新規事業開発のプロとして、新規事業に携わる企業やビジネスパーソンの「不」を解消していきます。
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