新型コロナウイルス感染症の流行をはじめ、日々変化の目まぐるしい現代では、新たなテクノロジーや新たなプレイヤーが登場し続けています。
経営が安定しているように見える企業でも、同じビジネスモデルで収益を上げ続けていくことは難しい時代になりました。
そうした状況を打破し、生き残るための戦略として、既存ビジネスへの依存から脱却し、自社に新たな収益をもたらす新規事業の立ち上げに注力する企業が増加しています。
しかしながら、新規事業立ち上げを模索しつつも、経験やノウハウがないため、具体的に踏み出すには課題や疑問、不安を感じる企業が多いのも実情です。
本記事では、新規事業の立ち上げに必要な基本プロセスの進め方や、成功に向けたポイント、その過程で役立つフレームワーク等についてまとめました。
新規事業立ち上げをご検討の方はぜひお役立てください。
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目次
新規事業を立ち上げることの重要性
新規事業の立ち上げは、現代社会でビジネスを行うという観点において、非常に重要な役割を持つようになりました。
企業が新規事業を立ち上げる経営上の目的は大きく以下の2点です。
- 外部環境の変化に対応し、企業の持続的発展を目指すため
- 人材育成につながる
一つずつ解説していきます。
外部環境の変化に対応し、企業の持続的発展を目指すため
近年はプロダクトライフサイクル(製品寿命)が短命化しており、いくら安定している既存事業といえど、永続的に収益を得ることは非常に難しい現状です。
盤石に見えた仕組みが僅か1年で傾くという例もあり、企業活動を継続する上で、新たなチャレンジを想定することは必要不可欠な時代になっています。
しかしそのチャレンジは既存事業が衰退を迎えてしまってからでは手遅れになってしまいます。
既存事業への依存度が高い企業こそ、自社に新たな収益をもたらす新規事業の創出に早い段階から取り組む必要があるでしょう。
さらには近年のコロナ禍による環境の変化もあいまって、事業環境の変化のスピードが早く、振れ幅も大きくなっています。
そんな現代において、中長期的に発展を続けるための打開策が新規事業開発なのです。
新規事業の立ち上げは、多くの投資を必要としたりと、短期的にはリスキーに見えるかもしれませんが、適切な進め方が実現できれば長期的にはリスクヘッジになります。
まずは取り組みを進めるために何が必要か考えてみましょう。
人材育成につながる
企業の長期的な存続のためには、後継となる優秀な人材を育成する必要があります。
しかし、そんな経営人材を育成する機会には恵まれていないのが多くの企業の現状です。
新規事業を立ち上げることで、自社社員が主体的にアイデアを出せる環境や、事業計画を立案・検証し、失敗から学んでいける環境を整えやすくなります。
また、新規事業立ち上げに携わり、ビジネスの根本を作るという経験は、将来の幹部を育てる上で極めて重要な方法となるでしょう。
新規事業立ち上げを通して企業が発展し、さらに人も育つというのが企業が新規事業に挑戦する大きな意義の一つなのです。
新規事業と既存事業の違い
新規事業を立ち上げる前に、既存事業との違いを明確に把握しておく必要があります。
まず新規事業と既存事業との具体的な違いを比較してみましょう。
- 成功までの期間の違い
- 人材の違い
- 顧客や市場の違い
新規事業と既存事業では、対象とする顧客や市場に違いがあります。
知見のある既存事業と異なり、新規事業は市場や顧客に関する情報が不足しているため、序盤の事業計画が立てづらい場合があります。
成功までの期間の違い
成功までのプロセスを把握できている既存事業と比べると、新規事業は立ち上げてから成功するまである程度の時間を要する場合があります。
アイデアや仮説を構築し、失敗を経て、試行錯誤を繰り返しながら根気強くビジネスを進めていく必要があります。
人材の違い
新規事業と既存事業では、求める人材の要件もそれぞれ違います。
既存事業では規定のノウハウ通りに仕事をこなす人材が求められますが、新規事業では自発的な提案やその実現のため自走できる人材が求められます。
新規事業立ち上げにおけるメリット
新規事業立ち上げでは大きく3つの経営的メリットがあります。
- 収益の柱を増やせる
- リスク分散につながる
- 人材を育成できる
それぞれ見ていきましょう。
収益の柱を増やせる
既存事業のみに頼る経営では、その事業が衰退したときに企業全体の業績が悪化してしまいます。
新規事業を立ち上げ、上手く軌道に乗せることができれば、新たな収益源の確保につながり、中長期的な業績安定を図ることができるでしょう。
事業環境の変化が目まぐるしい現代だからこそ、これは大きなメリットです。
リスク分散につながる
新規事業を立ち上げることで、既存事業との相乗効果で大きく収益を伸ばせる可能性があります。
既存事業に依存して注力するよりも、効率的に高い成果を得られるでしょう。
収益源を増やすことによるリスク分散にもつながる点がメリットです。
さらには、事業会社が社内新規事業を立ち上げる場合、ゼロから起業して事業を起こすことに比べ、既存のリソースやブランド力を活用できるというメリットがあります。
これは完全にゼロからのスタートアップ起業よりもリソースには恵まれた状態でスタートを切ることができます。
新規事業立ち上げ時に自社の経営理念やコンセプト、達成したいビジョンを刷新、明確化することで、新規事業の展開も含め社会における会社自体の存在意義を捉えることができ、会社の強い“軸”を再設定することにもつながります。
人材を育成できる
新規事業の立ち上げを通して、既存事業で育つ人材とは別の、環境やニーズの変化に対応できる「柔軟な人材・組織」が育ちます。
新規事業立ち上げの際には、後継の経営人材候補に実際の経営やチームを率いるプロジェクトリーダーを担わせて、実際に現場で経営スキルや経営感覚を身に付けさせることもできます。
新規事業では、商品やサービスの開発に加え、マーケティングやプロモーション、実際に市場を見極めるプロセスまで、ビジネスの全工程に目を向ける必要があります。
ここでチームを率いてさまざまな困難を乗り越えていく経験を得ることにより、経営視点を持った優秀な人材が育ちやすくなります。
また、プロジェクトチームの意思疎通や適切な連携を機能させることはチームリーダーを担うための極めて重要な能力です。
その牽引力と思考力を身につけた柔軟な人材を育てる機会が得られる点も新規事業立ち上げを行うメリットと言えるでしょう。
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新規事業立ち上げの基本プロセス
とはいえ「新規事業を立ち上げるのがおすすめ」と言われても、具体的にどうプロセスを経て進めていくのか、なかなかイメージは湧きづらいでしょう。
新規事業を少しでも成功へ近づけるためには、どのような点に留意すればいいのでしょうか。
次の手順のように細かくプロセスを踏んで構想を固めていくのがおすすめです。
- 顧客や自社の課題の洗い出し
- 理念、コンセプト、ビジョンを明確にする
- 市場調査・事業調査
- ビジネス環境の構築
- 事業計画を立てる
- 人材をアサインして実行する
立ち上げまでの進め方を、順を追って解説していきます。
顧客や自社の課題の洗い出し
まずは既存事業の顧客データやフィードバックを精査して自社商品の強みや弱みを紐解き集約し、アイデア出しや絞り込みを通して顧客や自社が抱える不満や課題を徹底的に洗い出しましょう。
必要に応じてフレームワークを活用することで、スムーズかつスピーディーに情報を整理することが可能になります。
ここでしっかりと外部環境と照らし合わせながら戦略を練ることで、その後の事業全体のコストやリスクの低減につながります。。
理念、コンセプト、ビジョンを明確にする
次に、新規事業立ち上げにおける自社の理念やコンセプト、ビジョンをまとめましょう。
社会的存在意義を明確にし、「その事業をなぜ自社がやるのか」という軸で、5年後や10年後に自社がどうなっているべきか考えることに注力します。
理想の状態から逆算してプロセスを設計し、市場でのポジションを確立していきましょう。
市場調査・事業調査
新規事業を展開する市場や競合他社を調査し、どのようなニーズがあるのか、何が障害になりそうなのか、市場性と事業性を分析し、自社が参入する価値のある適切な市場を見極めます。
多くのデータを集めるために、インタビューやアンケート、街頭調査で質問を投げかけるなどして、リアルな声を調査しましょう。
情報収集に自信がない場合や、より多角的な視点でニーズを見出したい場合は、調査をリサーチ会社に依頼してみるのもおすすめです。
ビジネス環境の構築
続いて、実際に新規事業のアイデアが、顧客の課題を解消できるのか、競合優位性が確保できるのかを確認しながら、ビジネスモデルを作り上げ、その結果を事業計画へと落とし込みます。
この段階で、サービスや製品作りに向けた周辺環境を整えておく必要があります。
事業計画を立てる
新規事業立ち上げ計画のための材料が整ったら、ここからは具体的な行動計画を立てていきます。
経営には資源が必要です。
「ヒト・モノ・カネ・情報」の4要素を軸に、各要素がどれだけ必要かを洗い出し、実際の調達へと進みましょう。
現実的なアイデア出しからブラッシュアップも重ね、実際に計算をして計画書を作成することで、数値を見える化していきます。
新規事業立ち上げは失敗するリスクも大きいため、いきなり大量のリソースやコスト、時間を注ぎ込むのは危険です。
スモールスタートを意識し、必要な場合は、補助金・助成金制度の利用も検討すると良いでしょう。
国や自治体などの公的機関による支援制度で、返済不要な事業資金が手に入るため、事業立ち上げの勢いをつけるのに役立ちます。
人材をアサインして実行する
新規事業を立ち上げるための最後のプロセスは、実際に人材をアサインして実行することです。
ここまでで明確化した「どんな人材がどれだけ必要か」のアイデアを元に適切に人選をします。
一気に大量のリソースをアサインするのではなく、それぞれ異なる強みを持つ人材を最低限の人数でアサインするのが序盤では重要になります。
ただし新規事業は想定通りに業務が進まないことで、モチベーションや熱量を損なうリスクが想定されます。
既存事業と同じようなマインドセットで取り組んでしまうとモチベーション不足で失敗してしまうケースが多いため、人材のモチベーション向上や熱量維持に留意して、対策を講じておくようにしましょう。
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新規事業立ち上げを成功させるポイント
新規事業立ち上げは、社運を賭けた一大プロジェクトといえます。
立ち上げた新規事業が上手く軌道に乗って成功したならば、企業の成長や生存に大きく寄与します。
しかし、新規事業立ち上げの成功確率は千三つと呼ばれるほど非常に低く、準備不足の場合は成果を上げることは難しいでしょう。
ここでは、新規事業の立ち上げを成功させるために確認しておきたい重要なポイントを紐解いてご紹介します。
- ニーズやターゲット、自社の強みを見極める
- 経営ビジョンを明確化する
- 事業撤退のラインを決める
- 経営に必要な資源を理解する
新規事業立ち上げを検討している方は必ず押さえておきましょう。
ニーズやターゲット、自社の強みを見極める
新規事業の立ち上げを成功させるためには、自社の強みを見極め、活かす必要があります。
新規事業だからといって全てを一から整える必要はなく、既存の生産・流通・販売のラインや、社内に蓄積されたノウハウ等、共通して活かせるリソースはないか探してみましょう。
自社の強みや弱み、状況を客観視した上で、事業戦略を練るのがおすすめです。ニーズやターゲットを見誤り、顧客が集まらず新規事業立ち上げに失敗するという事例は最も多い失敗原因です。
そうした失敗を回避するためにも、既存顧客にヒアリングをし、自社を選択してくれている理由を分析することが自社の強みを把握する際に有効です。
経営ビジョンを明確化する
新規事業の立ち上げでは、まずは軸となる自社の経営ビジョンを明確にすることが特に重要です。
この軸を固めることで、市場でのポジションのイメージを確立しやすくなり、差別化を図れます。
他社との差別化ができれば、競合優位性を確保をしながら成功確度も上げられるでしょう。
逆に軸が不明確な場合、短期的な視野と視点で目先の利益ばかりを追ってしまい、真の顧客ニーズを見失ったり、せっかく育った人材のモチベーションを下げることにつながりかねません。
メンバー間での考え方や方向性を統一し、その軸を持って目標に向かうため、既存事業以上に経営や達成ビジョンの明確化・共有を行いましょう。
事業撤退のラインを決める
新規事業立ち上げにおいて、事業撤退ラインを決めておくことは非常に重要な要素の一つです。
どんな事業でも、成功する保証はありません。
時間を費やせば費やすほど、引き際を見失うことがあります。
採算が取れないにも関わらず、ズルズルと事業を続けてしまうことで赤字が膨らみ、結果的に会社倒産という結果にもなりかねません。
企業全体の経営を圧迫するような事態は避けなければなりません。
そのためにも、あらかじめ撤退するべきタイミングを設けておくのが良いでしょう。
この撤退ラインを設けておくことで、すばやく決断ができ、損失を最低限に抑えられるとともに、立ち上げメンバーの覚悟も決まります。
経営に必要な資源を理解する
新規事業立ち上げにおいて、ニーズやターゲット、経営ビジョンや事業計画に問題がなくても、失敗する事例が見受けられます。
理由はさまざまですが、多くの場合、必要なリソースを把握できていないことが挙げられます。
まずはスモールスタートやβ版のリリースを通して「ヒト・モノ・カネ・情報」の4要素を軸に、各工程でどのくらいのリソースがいるのかを明確に見える化して、足りない部分を補うための対策を先んじて講じていきましょう。
新規事業立ち上げに役立つフレームワーク5選
フレームワークとは?そのメリットをご紹介
フレームワークは、ビジネスにおいての思考や課題解決を図る際の情報整理ツールです。
漠然と考え事をするよりも、一定の枠組みに沿って考えることで、より具体的・合理的に思考がまとまり、問題解決にもつながりやすくなります。
新規事業の立ち上げにおいては、このフレームワークを活用することで、さまざまなフェーズでの意思決定をスピーディー且つスムーズに進めることができ、事業計画を作る際にも役立ちます。
ここでは新規事業立ち上げでよく活用されるフレームワーク5選をご紹介します。
- ペルソナ分析
- 3C分析
- ロジックツリー
- ポジショニングマップ
- ビジネスロードマップ
市場調査やアイデア出しに使えるフレームワークも紹介しているので、自社に合ったものを選び、積極的に活用していきましょう。
・ペルソナ分析
ペルソナ分析とは、年代や性別、職業、価値観など、新規事業の理想のターゲットとして想定している具体的な顧客像を仮想設定し、それを元に提供する製品・サービスの主軸やコンセプトを導き出すフレームワークです。
新規事業開発の際には、このペルソナ分析を行ってターゲットを具体的に想定し、消費者のニーズを絞り込むことで、的確なターゲットへのアプローチに活用します。
・3C分析
3C分析は、3つの「Cで始まる単語」Customer(市場・顧客)、 Company(自社)、Competitor(競合他社)の頭文字をとったフレームワークです。
これらの3つの要素は、バランスの良い経営戦略をたてるためには欠かせない要素・視点です。
この3つのCを元に分析をし、新規事業の進め方を精査します。
・ロジックツリー
ロジックツリーは消費者の抱えている特定の問題に対し、原因や解決策をマインドマップ形式で細かく分解し、深堀りしていくフレームワークです。
消費者のニーズにマッチした事業構築が可能になり、事業計画を立てる際にも役立ちます。
顧客本人も自覚できていない潜在的ニーズを意識することで、より深い分析・検討ができます。
・ポジショニングマップ
ポジショニングマップは、ターゲットとなる市場において、自社商品やサービス、競合他社がどのポジション・立ち位置にあるのか、今後どのポジションを狙うべきかを客観的に可視化するフレームワークです。
顧客が商品を購入する場合に重要視する要素を2つ選び、それぞれを縦と横の軸に設定します。
この表を用いて自社商品やサービス、競合他社のプロダクトがどこに位置するのかをマッピングし、自社が目指すべき指標を設定するための検討材料にします。
・ビジネスロードマップ
ビジネスロードマップは、最終の目標達成のためにするべきことを時間軸に沿って書き出していくフレームワークです。
縦軸は事業規模・売上・利益など、横軸は時間を示します。
時間軸が進み、事業を続ける中で生じる問題を予測し、それぞれの対応策も書き出すことで、より具体的で達成可能な目標を立てることができます。
PMFコンサルティングで売れる領域での新規事業立ち上げを
どれだけ素晴らしいと思うプロダクトでの新規事業立ち上げでも、市場を理解し、ニーズに見合った進め方で売らなければ魅力は顧客に伝わりません。
必要に応じて効果的に事業活動をするためには、事業の運用支援を受けることも選択肢に入れるべきです。外部の知見を取り入れることでチームの活動に厚みや可能性の幅が生まれることでしょう。
PMFコンサルティングでは、お客様のプロダクトを売るための最善の環境と策を発掘することを得意としており、事業の成功確率を高めるために伴走し、コミットし続けます。
自社のプロダクトに関するお悩みは、お気軽にPMFコンサルティングにご相談ください。
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