PMF(プロダクトマーケットフィット)の意味をご存知でしょうか?
PMFは主にスタートアップや新規事業をはじめとした製品やサービスにおいて用いられる指標です。
市場ニーズを満たす製品やサービスを開発・販売できている状態=PMFを達成している状態
どんなに質の良い商品やデザインのかっこいい商品を売り出しても、消費者のニーズや市場に適合していなければ売上を伸ばすことはできません。
このため、スタートアップのみならず、ビジネス全般においてPMFの視点は一つの達成指標とされ、昨今のビジネス業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)と同じく、多方面から注目される言葉となりました。
本記事では、PMFの詳しい意味や重要性をはじめ、PMFに関連の深い用語の意味をまとめました。
スタートアップや新規事業立ち上げを検討する方はお役立てください。
PMF(プロダクトマーケットフィット)とは
PMF(プロダクトマーケットフィット)とは、「Product Market Fit」の頭文字を取った言葉で、「製品(サービスや商品)が特定の市場において適合し受け入れられている状態」のことです。
優れたデザインの製品やサービスを作っても、市場が存在しなければ価値を持ちません。
逆を言えば、優れた市場があったとしても、そこで最適な製品やサービスを提供できなければ、市場が優れている意味はないということになります。
よって、ビジネスを大きくするためには、ユーザーの満足度を高めることと、適切な市場にあるということをどちらも満たすことが重要であり、その考え方の指標がPMFとされています。
生み出したプロダクトが最初からPMFを達成していることは多くないため、繰り返し検証を行い、柔軟にマーケットからのフィードバックを活用し、プロダクトを改善していくことが重要です。
PMFが注目される理由
現代の日本では、スタートアップ振興が動き出しており、そのスタートアップ達成の指標として、PMFは国を問わず重要視されています。現在ではスタートアップの成否を左右する要素として、PMFは多くの起業家にも認知されています。
インターネットやスマートフォンが普及した現代社会、必要な情報の入手は非常に容易です。だからこそ、お客様のニーズを超え、課題を解決する製品やサービスを提供しなければなりません。
スタートアップや新規事業の初期段階では、主に「顧客の課題を解決して満足させるもの」か「市場と適合していること」のどちらかだけを満たす場合が多いため、経営資源を集中させ、シェアを拡大していくには双方を満たすPMFを達成する必要があるのです。
経営資源が尽きる前に、顧客のニーズを満たし、商品が市場で受け入れられているPMFの状態を達成していくことが事業成功の鍵となるのです。
PMFを理解するために必要な関連用語集
ここからはPMFに関連する用語や、理解に役立つ用語の意味をまとめていきます。
これからPMFを学びたい、仕事に取り入れたいと考えている方は参考にしてください。
語句の意味がわからなくなった時の確認資料として保存するのもおすすめです。
マーク・アンドリーセン
アメリカのソフトウェア開発者であり、世界有数の投資会社の創業者。
PMF(プロダクトマーケットフィット)の考え方を世に広めた人物です。
アンドリーセン氏はベンチャーキャピタリストとしてさまざまな企業を見てきた中で、PMFこそが企業の成否を左右する要素だと指摘しています。
PSF(プロブレムソリューションフィット)
PMFの状態を目指すには、その前段階であるPSF(Problem Solution Fit – プロブレムソリューションフィット)の状態を達成する必要があります。
PSFの状態にあるということは、解決するべき問題や課題の発見と、それを解決するための最適な方法を導き、用意できていることを意味します。解決するべき課題や問題を見つけるために欠かせないステップです。
PSFが達成されていないと、解決策を求める顧客がいる「正しい市場」を探すことができません。PMFを達成するにはまず、「正しい解決策(PSF)」が必要なのです。
PSF到達のステップは、顧客の課題を特定→プロトタイプの作成→評価という流れになります。
顧客の課題や解決法について仮説を立てた上で実際に顧客にヒアリングし、定性調査と定量調査を行い、課題と解決策の検証を行います。
MVP(ミニマムバイアブルプロダクト)
MVPはMinimum Viable Product(ミニマムバイアブルプロダクト)の頭文字をとった言葉で、「実用最小限の機能をもつ製品」のことを指します。
PMF達成手前のフェーズで、できるだけ少ないリソースで最適な市場を探すために、競合には見られない価値を実際に試すために生み出す製品で、機能が最小限に絞られていることが大切な要素です。
このMVPを実際に市場に投入して顧客に利用してもらい、評価と検証・計測した上で調整を行い、次のフェーズへと進みます。
検証
PMFを達成できているか否かは、検証を繰り返す方法で確認を進めます。
検証を進めるには、ユーザーが実際にプロダクトを試し、その価値を体験することが必要なため、そのフィードバックをさまざまな方法で得ることでPMFを明確に数値化し、指標とします。
この検証の結果により、ビジネスを軌道修正をする場合もあります。
NPS(ネットプロモータースコア)
NPSはNet Promoter Score(ネットプロモータースコア)の頭文字をとった言葉であり、カスタマーのロイヤリティ(愛着)を計測するための指標です。業績との相関が深いと言われており、日本でも採用する企業が増えています。
この指標の計測方法は「この企業・製品を家族・友人・同僚に薦める可能性はどの程度ありますか?」という質問を行い、0から10の11段階で回答してもらいます。
- 10~9:推奨者(ロイヤリティが高く、自ら購入と他社への推奨を行う)
- 8~7:中立者(商品に満足しているが、競合商品でも問題はない)
- 6~0:批判者(商品に不満があり、悪評を広める可能性がある)
推奨者の割合 ー 批判者の割合 = NPSスコアとします。
リテンションカーブ
リテンションとは、維持や保持、引き止める、などを意味する言葉ですが、マーケティング分野においては、提供している製品がどれくらいのカスタマーに継続して使用されているかを示す「既存顧客維持」の指標として用いられています。
リテンションカーブ(Retention Curve)はPMFの検証方法の一つであり、リテンション率を縦軸、製品のリリースからの期間を横軸に設定したグラフです。
このグラフがリリース以降にゼロにならずに横ばいの状態になれば、その製品は継続して利用されているという意味になり、PMFを達成している可能性があると判断されます。
PMF survey
PMF surveyは、PMFの状態を定量的に把握するために実施される、PMF検証方法の一つです。
「もしも製品が使えなくなったらどう感じるか?」という質問を顧客へ投げかけ、4つの選択肢から回答してもらいます。
1. 非常に残念
2. 少し残念
3. 残念ではない(それほど便利ではなかった)
4. 製品をもう使用していない
この質問に対して、40%以上が「非常に残念」と回答した場合、その製品で今後も持続的に顧客を獲得できる可能性があるとみなし、PMFが達成されていると判断されます。
エンゲージメントデータ
リピート率やリテンションのデータから得られるインサイトを利用して施策を考案し、施策の結果数値がどう動いたのかなどをわかりやすいダッシュボード上で、視覚的に把握する検証方法です。
ショーン・エリス
PMFの有名な検証方法の一つ、アンケート方式の顧客満足度調査であるPMF surveyを考案した人物。
このアンケート方式はショーンエリスのテストという名称で使われることもあります。
定性調査
顧客ニーズや購買意欲を調査するための調査方法として、ヒアリングやインタビューを使った調査方法があり、これを定性調査と表現します。
定性分析の主な方法としては「カスタマーインタビュー」が挙げられ、マーケットなどのデータだけではなくユーザーインタビューなどを通じた定性的な情報を得るための調査全般を指します。
「何人がそれを言ったか」というような数値的観点ではなく「どのような意見が出たか」という性質的観点で回答を調査する点が特徴です。
定量調査
顧客ニーズや購買意欲を数的に調べるため、アンケートやインターネットを活用して顧客の声の数を集めていきます。この調査方法を定量調査と表現します。
定性調査とは逆に、「誰が何を言っているか」よりも「何人がそれを言っているか」が重要です。
定量分析の主な方法としては「AARRR指標」が挙げられ、結果が正しく正当になるよう、ヒアリング結果等の定性面だけではなく、課題の発生頻度、支払える費用の平均値などを定量的に把握しながら調査します。
プロトタイプ
PSF(プロブレムソリューションフィット)の達成を目指すフェーズでの製品の試作モデルです。
まずカスタマーとの対話(ソリューションインタビュー)を行い、プロトタイプに実装する機能を厳選しておく必要があります。
プロトタイプができたら、実際に課題を抱えている方に使用してもらい、生の声を聞いて改善のためのデータを集めていきます。
ロイヤルティ
ロイヤルティとは、企業が提供する製品・サービスに対してユーザーが感じている愛着を指し、顧客ロイヤルティの高さは長期的な購買の指標となります。
ロイヤルティが高い=他社製品を寄せ付けないという強みもあるため、事業者はこのロイヤルティの高い顧客を大事にする必要があります。
スタートアップ・フィット・ジャーニー
スタートアップ・フィット・ジャーニーは、事業アイデアの立案からPMF成功まで、フェーズごとに道のりを示したものです。
各フェーズにおいて達成すべき「目標」を定義、達成しながらフェーズを進めていきます。
プロダクトインタビュー
PMF達成までのMVP供給段階において、顧客がどのようにMVPに触れ、何を感じたのかを分析するための方法がプロダクトインタビューで、製品の使用により課題が解決できるかどうかを見極めるための重要なプロセスです。
プロダクトインタビューを行う際は、MVPの良かった点だけでなく、不満や要望などのネガティブな意見を重点的に聞き出すことが大切です。
これにより、作り手側では気がつかないカスタマーの立場から、新たな改善点を見つけられる可能性があります。
PMFを実現してスタートアップビジネスの確実な成功を
人々のニーズや価値観の多様化により、近年、PMFはビジネスを成功させるための要素として重要視されています。しかしPMFは一度実現できればそれで終わりというわけではありません。
日々変化を遂げる市場に適合し、継続的に顧客ニーズを満たす製品やサービスを提供できなければ他社に顧客が流れてしまう可能性もあります。
PMFを達成し続けるには、絶えず市場調査や顧客のニーズ把握に努める必要があります。市場調査を実施する際には、外部の市場調査を専門とする会社の活用も有効です。
PMFコンサルティングでは、数々の実績をもとに、新規事業の立ち上げからPMFの達成に至るまで一気通貫で支援しています。スタートアップや新規事業で課題を感じている方はお気軽にご相談ください。
マーケットに合わない事業をゼロにする
マーケティングとセールスの壁を取り払う
日本初、顧客のPMF(プロダクトマーケットフィット)を行う会社。
PMFコンサルティングで市場にマッチした新記事業を立ち上げる。