新規事業のネタは見つけるだけではダメ!良し悪しの判断の仕方

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PMFコンサルティング取締役であり、ビズデブ(Business Development)の第一線にいる南風盛一郎にインタビューしてノウハウを学ぶこの企画。

今回は、新規事業のネタの良し悪しの判断の仕方について、自身の体験事例なども踏まえ話を聞いていきたいと思います。

新規事業の立ち上げで最も重要なことは何ですか?

新規事業ですから、元になるネタ探し?と考えてしまいがちかと思いますが、世の中には不利不満不便は溢れているため、ネタには困りません。

特に売れっ子のビズデブには日々たくさんの事業の相談が寄せられます。そのような中で、特にビズデブとして仕事をするのであれば、事業のネタを探す力よりも、そのネタの良し悪しを判断する力の方が大切です。

例えば、製造業や士業など、比較的レガシーで紙文化の業種であれば、ペーパーレスを目指すだけでも事業になると思いますし、基本的にはよりよい代替策やそれで解消される不利不満不便があるならすべてそれは事業になりえます。

ただ、その全てのネタが良い事業に繋がるかというと、そうでもないと思います。結局のところ、「Must」なのか「Nice to have」なのかということです。もっと簡単に言うと、「どれくらい困っているのか」ということです。

あったらいいねのサービスはたくさんありますが、ビジネスですから「お金を出してまで解決したい問題なのか」ということです。

そして、その問題は顧客の中で顕在化されているか?まで慎重に検討します。

実際、「あったら確かに便利だね」というサービスだったが、売れずに人知れず消えていったサービスは新規事業は山のようにあります。

なので、話は戻りますが、ネタは身の回りに一杯あります。
ただ、「そのネタが良いネタかどうか?」これが全てなんです。

なのでここでは、私が新規事業ネタにまつわる「良いネタ」or「悪いネタ」をどう判断しているか、という観点で話をしていきたいと思います。

新規事業のネタが良い=お金の話

利益につながる新規事業ネタはどこにあるのか

私は新規事業のネタとしての良し悪し=お金を払うかどうか、で見ています。

具体的には、その新規事業には“リプレイスする財布があるかどうか”が大切です。

〇〇費の本質を考えてみる

例えば、遊園地の例で考えてみましょう。

これは要するに遊園地などのテーマパーク、アミューズメントパークに行くために使う費用全般を意味しています。

同じ遊園地に対する出費であっても、何のために支払っているのかという顧客の心理が異なることが理解できるはずです。

以下の身近なパターンで、遊園地費の本質を捉えてみます。

  • 後楽園ゆうえんち=「都心で気軽にいろんな乗り物で遊べる」費
  • ディズニーランド=「圧倒的非日常の世界観に浸れる」費
  • 富士急ハイランド=「日本一の絶叫マシンに乗れる」費

こんなところでしょうか。(私の私見です。)このように、「消費者は何を求めてお金を出しているのか=どのような財布なのか」を理解することが重要です。

ケーススタディ①Universal Studios Japan

Universal Studios Japan(USJ)の事例で考えてみましょう。
USJは過去に売上不振に陥った時期もありましたが、現在では劇的な復活を遂げています。

この復活の要因は、様々に定義されていますが、私としては一言で「今までとは別の財布を取りに行った」点にあると考えています。

では、何の財布を取りにいったのでしょう。下記は一例ですが、

もしかしたら、以前CMで流れていた「子供と一緒に思い出を作れる回数は限られている」というテーマ訴求を覚えている人もいるかもしれません。

この訴求で親子連れや家族層を引き込み、入園者数の爆発的増加を実現させることに成功しました。
つまり、USJは「遊園地費」のより上のレイヤーである、ファミリー層の「子供との思い出作り費」の財布を取りに行ったんです。

「遊園地費」とか「新しいアトラクション費」という限定的な財布ではなく、その上の「レジャー費」も飛び越えて、「子供との思い出作り費」の財布を狙ったということです。

「子供との思い出作り費」となると、様々な選択肢を包含した非常に大きい財布になります。

そしてその後、USJはこの施策だけでなく、様々な財布を取り込む施策やキャンペーンを打ったと思います。全国からのお客様が泊まりがけで遊びに来られるような環境を整えていき、「旅行に使われる費用=旅費」もリプレイスすることに成功したと言えると思います。

遊園地=「遊園地費」にとどまらず、市場を大きくとって、その市場の幅広い財布を狙いにいった成功事例です。

ちなみに市場を変えると競合も変わります。例えば、これは私見ですが、「東京ディズニーランド」のお財布の競合は「宝塚歌劇団」かもしれないわけです。

逆に言うと、訴求と市場を変えるだけで、「真正面から戦って勝てない相手とのマッチアップを回避できる」「勝てる戦場を選べる」ということになります。

ワクワクしませんか?全ては戦略次第です。

財布のリプレイスをするとは

新規事業のネタは発想の転換で良くも悪くもなる

以前別の事例でお話しした中日アド企画さんの例でも同じことが言えます。

×アプリ費でお金を取ることは難しい
○健康ブランド費、採用費ならより大きな財布がある

これも要は財布のリプレイスです。

健康法人の取得 →「採用が強化される」「ホワイト企業のブランド獲得」

こういう話になるので、採用強化費とかブランド費の観点で費用を取りに行けます。そうすれば、アプリ費では高額と思われて財布が開かなくても、別観点の訴求によって財布が開きます。

結局、事業の成功確率をアップさせるためには、どの財布を取りに行くかという考え方が何よりも重要と考えています。

良い新規事業=リプレイスする財布が定義できる事業

例えば、スタートアップの若者が「出資してください」と私のところに来たとします。

<悪い例>

若者:「健康アプリをやりたいです。労働人口が減っていくなかで健康経営が今重要になっているので、企業に売ろうと思っています…」

私:「なるほど。」

<良い例>

若者:「健康アプリやりたいです。健康経営の法人バッジ取得のためのコンサルタントをしています。その申請のために改善ファクトが必要なので、アプリでそのファクトを見える化します。アプリはあくまでも見える化するためのツールです。企業のブランド力向上での採用力アップや離職率の低下などのメリットが見えるので、人事部の採用強化関連の予算を取りに行きます。アプリのツール利用費は0円に設定するんですけど、採用強化費であれば年間このくらいの財布を持っているはずなので、これくらいのコンサル費で人事部の財布を取りに行きます」

私:「いいと思います!」


つまり、良い新規事業の条件は以下の2点です。

①問題解決のアイデアがある
②リプレイスする財布が明確になっている

事例に沿って考えてみよう

USJが「映画好きがハリウッドの世界観を楽しめる費」だけを取りに行く施策をしていた場合、おそらく一部のファンにだけ人気が出るのみで、経営不振からの脱却はできなかったでしょう。

しかし、「子供との思い出作り費」の財布を取りに行く施策を練り、そこから派生する旅行やレジャーの費用をまるっと取りに行ったことで劇的な復活を遂げたのです。

このことからも、財布を広げられる事業=良い新規事業と言えるのです。

ですので事業を考える際は、「広げる財布の余地があるか」「リプレイスする財布が明確か」が決まっていないといけません。

勿論、USJファンはUSJという価値に来ますし、ハリーポッターファンはハリーポッターのアトラクションが入れば来る、というコンテンツによる単純な財布の広げ方もあります。

ちなみに、遊園地の業界としては圧倒的なポジションにいる東京ディズニーランドも似た事例として考えることが可能です。

ディズニーランドの入園料は他の一般的な遊園地と比較したら高額かと思います。

それでも人が来続ける成功の秘訣は、園内園外、あのエリア一帯の世界観の完成度、それぞれのキャストも含め、徹底的なディズニー世界の演出ができており、そこに浸りたい人に向けて適切な訴求をしているからです。

つまりUSJと同じく、ただの遊園地のアトラクション費から脱却しているということです。

優れた新規事業のネタとは何か

新規事業におけるたくさんの失敗例の中から、成功事例を抽出する

ビズデブは能力次第で事業の切り方を変え、財布を変えられる可能性があります。ビズデブの能力次第で新規事業を素晴らしいものにも変えられますが、逆に限られた財布しか取れないという悲惨な事業にもなり得ます。

これが非常に面白いところです。同じハードを扱うにしても、ビズデブの手腕次第で大成功にも大失敗にもなるということです。

それだけどのような事業であっても、ビズデブの力は非常に重要ということです。

取れる財布をどう広げていくか、リプレイスする財布をどう手に入れるか、この成否次第で全く違う事業になります。事業がうまくいかないのはハードのせいではないんです。

最初の質問の回答ですが、新規事業ネタとして優れているかどうかはリプレイスする財布が明確であり、その財布が広がりをもっていること。そこから儲かるイメージが湧くかが良い新規事業のネタであるという回答です。

ネタの良し悪しに気付くためのトレーニング方法

新規事業アイデアを生み出すための脳みそを鍛える

ネタの良し悪しの判断力を鍛えるためには、常に価値の本質を考えることを癖づけると良いと思います。つまり、これは「何費」なのか?高いのか、安いのか?

例1:ホテルや旅館の宿泊費から考える

例えば、ラグジュアリーホテルに泊る人はこれをビジネスホテルと同様の宿泊費とは思っていないはずです。宿泊費というのはシンプルに考えれば寝泊まりする代金です。 

請求書の記載は御宿泊費としか書かれていませんが、その金額には何が乗っているのか。

上質なサービス費、食事が個室、大浴場に人の密度が高くない費、非日常費、などなど。そういう様々な価値が降り積もって高額な宿泊費になっています。

ビズデブはこれを分解して考えます。ハードとしての宿泊費はいくらで、特別なサービスを受けられる費がいくら、美味しい料理がいくら、浴場で他人と動線が被らない設計費が云々、と。

そうした魅力の積算が価値の本質を作り上げます。

例2:占いの価値の本質を考える

では、占いの価値の本質は何によって構成されているでしょうか?
「占い費です」とか「占い師の時間です」と思った人はもっと分解して考えてみましょう。

「話してスッキリする費」とか「後押ししてもらって勇気が出た費」、「気分よくなった費」など分解すると色々出てきます。

金額がとても高い人というのは、そこに「ネームバリュー」も入るかもしれません。つまり「超有名占い師に鑑定してもらった費」みたいなものですね。

価格というのは「〇〇費」が積み重なって構成されています。

つまり、トレーニングをするならば、世の中のサービスにふれ、「これは何費なんだろう?」と常に考える癖をつけると良いと思います。

まとめ

世の中にあふれているサービスたち。

一見同じような費用でも、実は狙っている財布が違うことはご理解いただけたかと思います。同じハードであっても、切り口ごとに狙うべき財布が変わる、変えることができ、そこに勝機を見出すことができます。

その価値がどこの財布を狙っているのか?身の回りにある価値の本質を日頃から考えてみましょう。

先ほどの例にも挙げましたが、私は宿泊費と請求書に書いてあっても寝泊まり費とは捉えていません。何費と何費と何費との合算でこの値段か、と思います。常にそう分解する思考の癖ができているんですね。

財布、財布と少しイメージを悪くもった方もいるかもしれませんが、つまりは「市場規模」のお話ですから(市場規模は価格であらわされます)まさしく、財布の話はマーケティングとお話、ということになります。

是非、「これは何費?」を癖づけて考えてみてください。


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