目次
新規事業を立ち上げまでの流れ
新規事業立ち上げに関わる際、やることを明文化して整理しておくこと、流れを理解しておくことはスムーズな展開を考える上で大変重要です。
まずはここで、アイデア出しから実行に至るまでの流れをまとめていきましょう。
新規事業のアイデアを考える
新規事業のアイデアではひらめきも大事ですが、それ以上になぜそのアイデアが生まれたのか、どう効果的なのかを説明できる論理性が求められます。
漠然とした「これよさそう!」では周囲の納得を得ることは難しいでしょう。
データをもとに仮説を立てた「これよさそう!」を目指して取り組むことが第一歩目です。
しかしながら、まずはアイデアを考えないことには新規事業立ち上げは進みません。
「自分に新しい事業のアイデア出しなんて荷が重い」と感じている方もいると思います。
ですが安心してください、アイデアの発想には様々な方法論があります。
まずは他社事例や方法論のインプットから始めてみましょう。
新規事業アイデアはどう考える?成功事例に学ぶ考え方も参考にしてみてください。
顧客ニーズや市場の調査を実施する
顧客のニーズが無いところにビジネスは成り立ちません。
よくある失敗は「きっとこれが売れるだろう」「きっとこれが役に立つだろう」と勝手に判断して進めてしまうパターンです。
まずはアンケートやインタビュー等で市場調査をし、定量的かつ定性的にデータを取りましょう。
実際にサービスや商品を使う層に対して、「どのようなストレスを解消したいか」「現状がどう改善されるなら買うか」などといった内容で具体的なニーズの把握に努めます。
だろう判断で勝手に顧客のペルソナを決めてしまうのはとても危険です。
先入観を持たず、フラットな目線で調査していきましょう。
顧客や市場のリアルな声に耳を傾けることが、自身の思い込みから抜け出し、事業化して解決すべき課題を発見する第一歩となります。
事業ドメインを明確化する
事業アイデアの切り口が見つかったら次は事業を展開する領域(ドメイン)を検討します。
事業ドメインを考える際は「物理的定義」と「機能的定義」を意識することで目指す姿を明確にしていきましょう。
それぞれの定義をデータに基づき具体性を持たせることで、事業イメージがわかりやすくなります。
- 物理的定義=何を作りたいか
- 機能的定義=使用することでどうなってもらいたいか
事業化の可否を検討する
事業化するからには収益を上げられる構造でなければいけません。
ただし、検討を重ねた結果事業立ちあげしない方がいいパターンもあります。
曖昧な論拠で無理に勝負をしても良い結果には繋がりません。
下記のような場合は一度立ち止まり、方針転換することを推奨します。
- 顧客ニーズはあるが競合が強すぎて勝てる見込みがない
- 顧客ニーズに応える商品を作ったが、ニッチすぎて市場が小さく顧客が少ない
- 素晴らしい商品を考えたと思ったが、市場にニーズがない
MVVを設定する
MVVとはMission、Vision、Valueの頭文字をとった略称です。
- Mission(ミッション):企業が社会に対して「なすべきこと」
- Vision(ビジョン):企業が目指す「あるべき姿」
- Value(バリュー):企業の構成員が「やるべきこと」
成し遂げたい目標、目指す姿を明確化することで社内の意識統一を図ります。
チームのメンバーが同じ方向を向くことで、やるべきこと、避けるべきことの規範が明確になり統率がとりやすくなるのです。
また、行動規範が明確化されることで、トラブル発生時にも迷わず対処できるようになるメリットもあります。
組織が大きくなるほど、意識の全体共有は難しくなります。
MVVを適切に設定することでスムーズな事業運営に繋げることができます。
計画を立案する
「いつ」「誰が」「何をするか」のビジネスプランを策定しましょう。
これまでの調査データや事業ドメイン、MVVをベースに具体的かつ現実的なプランを構想します。
ビジネスプランを考える際、つい「あれもやらないと、これもやらないと」と思考が分散しがちです。
しかしまずは、目指すべき目標・ゴールを設定し、逆算してプロセスを構築していきましょう。
新規事業を最短距離で立ち上げるためには段取りが何よりも重要です。
必要な業務を洗い出し、誰がいつまでに対応するのかタスクを管理しながらプロジェクトを進行することで、無用なトラブルやリスクを避けましょう。
マーケットに合わない事業をゼロにする
マーケティングとセールスの壁を取り払う
日本初、顧客のPMF(プロダクトマーケットフィット)を行う会社。
PMFコンサルティングで市場にマッチした新記事業を立ち上げる。
新規事業立ち上げに使えるフレームワーク
新規事業立ち上げを考える上で、アイデア出しやアイデアの活用、市場調査、事業促進など様々なシーンで活用できる思考法があります。
こうしたフレームワークを有効に活用し、思考や情報を効果的かつ効率的に整理していきます。
フレームワークはそれぞれ得意とする状況がありますので、タイミングによって多角的に使い分けていくことがおすすめです。
以下の3つのポイントに分けてご紹介していきます。
- アイデアを出すためのフレームワーク
- マーケティング施策を考えるためのフレームワーク
- 具体的施策を考えるためのフレームワーク
新規事業アイデアを考えるためのフレームワーク
新規事業のアイデア出しに必要なのは天才的な閃きだけではありません。
堅実に思考を積み重ねた先に至る発想も大いに価値があります。
冷静に情報をまとめ、分析することで見つかる境地が必ずあります。
まずは感覚や思いつきではない思考法をご紹介します。
アイデアを創造し、磨き上げていく段階で活用してみましょう。
ブレインストーミング
複数人で1つのテーマに対し、自由に意見を出し合うことで新たな発想を生み出す手法です。
三人寄れば文殊の知恵と言いますが、まさに複数の頭を使うメリットを集約した思考法です。
ブレインストーミングを実施する際、絶対に守りたいルールが3つあります。
- 質より量!アイデアの質にこだわらない
- 自由な発言が意義!誰かのアイデアを否定しない
- 最後にアイデアを集約!出たアイデアを放置して終わらない
上記のルールとプロセスを守ることでブレインストーミングの効果は最大化されます。
マインドマップ
テーマと関連するキーワードを探る上で有効な手法です。
用紙の中央に議題となるメインテーマを配置し、テーマから連想される情報を線で繋ぎながら放射状に展開、マッピングしていきます。
情報の相関性が一目でわかりやすく、各要素を図解することで思わぬ発見が得られることもあります。
ブレインストーミングの手法と併用することでより効果的に使うことができるでしょう。
マンダラート
目標達成へのプロセスを明確化する手法です。
アイデアが生まれた後、それをどのように実現するか目標達成までの道のりを視覚化することに優れています。
タスクを可視化しやすいため、目標達成までの方法で悩んだ時に効果を発揮します。
<使い方>1マンダラート=9マス(3×3)
- 1マンダラートの中央1マスに達成したい目標を記入
- 周辺8マスに目標達成に必要な条件を記入
- その必要な条件を中心1マスに転記したマンダラートを最初のマンダラートの周辺8ヶ所に展開
- それぞれの必要条件を達成するために必要な条件をその周辺8マスに記入
- 合計9マンダラート(81マス)が埋まった状態にする
- マス内の似た要素をグルーピングしていく(重複=重要)
- 重要なものから優先順位をつけて対応していく
オズボーンのチェックリスト
アイデアの改良や応用に向いた解決型の手法です。
※SCAMPER(スキャンパー)法とも呼ばれています。
事前に設定されたチェック項目に回答することでアイデアを深掘りしていく手法となります。
<チェックリスト9ヵ条>
- 転用(Other uses):他の使い道はある?
- 応用(Adapt):似たものがあるか?真似できる?
- 変更(Modify):新しい修正は可能?
- 拡大(Magnify):何か要素を付加できる?
- 縮小(Minify):何か要素を削減できる?
- 代用(Substitute):他のアプローチはある?
- 再調整(Rearrange):既存の要素にアレンジを加えられる?
- 逆転(Reverse):用途を逆転できる?
アンチプロブレム
思考が行き詰まった時に活用できる手法です。
本来解決したい課題とは逆の課題を設定することで解決策を求めていきます。
《使用例》
- 本来の課題=質の高いリードを獲得する方法
- 逆の課題=質の低いリードを獲得する方法
この時、どうすれば質の低いリードを獲得できるか?を肯定的なワードで考えてみましょう。
そうすることで、逆説的に「やってはいけないこと」「避けるべきこと」が明確になり、本来目指す課題解決を考える際の助けとなります。
日本初、顧客のPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を実現する会社
マーケットに合わない事業をゼロにする
マーケティングとセールスの壁をなくす
市場を調査しマーケティング施策を考えるためのフレームワーク
新規事業のアイデアが整ったら、次は顧客のニーズや市場を調査、分析してマーケティング施策を考えていきましょう。
この時、想定顧客を間違えたり、競合を見誤ったりすると適切なデータを得ることができません。
自社への理解を深めつつ、競合他社、市場がどのような状態なのか見極めていきます。
競合がいないと思って参入したら、思わぬ衰退産業で収益が見込めないなどとなっては目も当てられませんので注意深く調査しましょう。
競合他社との相対的な自社の立ち位置を調べたり、想定顧客を洗い出したりするために役立つフレームワークをご紹介します。
3C分析
参入したいマーケティング環境を整理、把握することに長けた手法です。
下記の3つのCをもとに分析を進めていきます。
3C分析で得た外部環境、内部環境への理解はSWOT分析への応用が効果的です。
- Customer(市場、顧客):市場規模、成長性、ニーズなど
- Competitor(競合):競合企業、寡占度、参入障壁、他社戦略など
- Company(自社):MVV、自社リソース、強み、弱みなど
SWOT(スウォット)分析
自社の外部環境と内部環境を4つの観点で要因分解することで、後に自社がとるべき戦略を検討する手法です。
- Strength(強み):自社の長所、得意な領域や内的ポジティブ要因
- Weakness(弱み):自社の短所、苦手な領域や内的ネガティブ要因
- Opportunity(機会):自社に好影響を与える外的ポジティブ要因
- Threat(脅威):自社に悪影響を与える外的ネガティブ要因
上記の4つの要素を踏まえて分析することで、既存事業の改善点や差別化のポイント、新規事業の柱となるアイデアを得ることができます。
また、SWOT分析で得た理解は、経営方針やマーケティング戦略を立案するシーンでも役立ちます。
STP分析
市場構造を把握し、ターゲットを絞ることに適した手法です。
分析を進める際はユーザー目線を意識し、客観的に進めていきましょう。
- Segmentation(セグメンテーション):市場構造を細分化
- Targeting(ターゲティング):狙う市場の決定
- Positioning(ポジショニング):立ち位置の明確化
ポジショニングマップ
比較したい領域の中で、自社と競合他社の立ち位置を視覚的に把握する手法です。
自社がどの軸なら優位性を保てるか、どの領域を想定顧客とするか考える際に役に立ちます。
上記のSTP分析と併用することで、より効果的な活用が期待できます。
<作り方>
- ポジショニングマップの軸を縦と横の2軸で選定する
- 自社と競合他社(の製品)をマップ上にプロットする
具体的な施策に移るためのフレームワーク
新たな事業アイデアをもとに市場調査や分析ができたら、改めて自社の事業をどのように市場に落とし込んでいくか考えましょう。
市場のニーズや競合の動きを把握しつつ、顧客像を捉え、その中でどう立ち回るか具体的な施策を検討していきます。
4P分析
自社のサービスや製品をどのように市場に浸透させていくか考えるマーケティング手法です。
顧客への価値を最大化させるにはどうしたらよいか、下記の4点を検討します。
- Product(サービス・製品):何を売るか?
- Price(価格):いくらで売るか?
- Place(場所):どう提供するか?
- Promotion(販促):どう訴求するか?
新規事業の立ち上げで失敗しないためのポイント
新規事業の立ち上げは90%以上が撤退するという難しい世界です。
しかしながら、成功への確度を高めたり、撤退を余儀なくされた時のダメージを最小限にしたりする方法はあります。
事前にできる準備は抜かりなく実施し、万全を機して事業立ちあげに臨みましょう。
必要なリソースを事前に明確にする
新規事業に限らず、事業運営には把握しておくべき3つのリソースあります。
それが、ヒト、モノ、カネという資源です。
1つでもリソースが足りなくなる=撤退に直結
事前が軌道に乗るまでにどれだけの資源が必要か、もし足りくなったらどのように資源を補填するのかなど考えておきましょう。
ヒト=人材
- 新規事業の準備、運用、展開に必要なスキルは何か?
- 内部人材で対処できるのか?外部人材を登用するのか?
モノ=資材
- 新規事業の開発に必要な資材は十分にあるのか?
- 新規事業に活用できる資材はあるのか?
- どこから資材を調達するのか?
カネ=キャッシュフロー
- 全体でどのくらいの予算が必要なのか?
- 予算をどこから確保してくるのか?
- キャッシュポイントをどこに設けるのか?
事業撤退のラインを策定する
どんな事業でも100%成功する保証はありません。
予期せぬトラブルや不調で撤退を余儀なくされることがあるかもしれません。
大切なことは「もしこうなったら撤退する」と、最悪の事態を想定しリスクを踏まえて、最もダメージの少ない戦略的な撤退ラインを策定しておくことです。
明確な撤退ラインを設けなかったせいで「まだいけるかも、、、」と淡い期待を持ち、1年、2年、3年と赤字がずるずると続いて最終的に大赤字になるというパターンをしばしば見かけます。
リスクヘッジとして事前に撤退の目安となる具体的な数値や状況を定めておきましょう。
必要最低限の人員で動く
新規事業の立ち上げでは無理、無駄なくスピード感を持って事業に取り組むことが求められます。
人員が膨れ上がるほどコミュニケーションコストは増大し、機動力も失われていきます。
しかし人員不足となれば負荷が高まり、逆に進行速度は減退します。
プロジェクトを管轄する人間は常に、どこにどれだけのリソースが必要か判断しながら進捗管理をしていきましょう。
新規事業を立ち上げるならPMFコンサルティングへ
PMFコンサルティングでは新規事業の立ち上げに必要な要素を的確にサポートします。
抽象度の高いお悩みも要素ごとに分解して具体的なタスクまで落とし込み、その後の実行プランを伴走して考えます。
新規事業立案からマーケティング調査、事業運用まで、企業のチャレンジの成功に貢献します。
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