目次
そもそも新規事業とは
新規事業とは、企業や個人が新たに事業を立ち上げることを意味します。
スタートアップの起業もあれば、事業会社の新展開も同じく新規事業に当たります。
いずれの場合も、新たなビジネスモデルによって利益を得ることが目的です。
そして何よりも重要な点は、新規事業への取り組みは、企業が長期的に成長、存続するための必須条件だということです。
事業の具体的な内容は世界中に星の数ほどありますが、新規事業の立ち上げは大きく3パターンで考えることができます。
最新技術を用いて新製品を創出するパターン
日進月歩で進化を続ける情報化社会では、最新技術によって日々新たな製品が作り出されています。
今まで誰も見たことがないような製品が世に出るパターンがこれに該当します。
既存のビジネス常識が大きく変わるような、イノベーションと呼ばれる変革はこうした新規事業から生まれます。
現在はITを活用した世界が広がっていますが、数年後にはまた新たな技術革新が起こっていても不思議ではありません。
この領域は企業間の競争も激化していますが、一度開発に成功すればそれは莫大な収益を生む財産になります。
そのためどの企業も多くのリソースを投入して新たな価値を創り出すことに挑戦しています。
新たな市場を発見して開拓するパターン
時代の流れと共に変化するユーザーのニーズの変化を捉え、競合がまだ進出していない領域に事業を展開していきます。
これまで付け入る隙がなかったレッドオーシャンの市場であっても、社会情勢の変化によって構図が崩れることもあります。
また、仮に強い競合がひしめく市場環境であったとしても、その中のニッチな領域をカバーするサービスを提供することで、新たなブルーオーシャンの発見につながるものです。
柔軟で機動力のあるベンチャーがこうした領域で強みを発揮するパターンが多くあります。
既存事業のビジネスモデルを転換するパターン
既存の運営事業のビジネスモデルを変えることで、新たな販売チャネルを構築していきます。
社内の既存リソースの強みを活かすことで新たな展開が狙える手法です。
<動画配信事業A社>
旧:個人向け動画配信事業(BtoC)
新:これまでの動画を活用した企業向け資格取得支援事業(BtoB)
<飲食店B社>
旧:店内飲食のみ
新:店内飲食に加え、テイクアウト、オンライン通販事業
このように、これまでの事業リソースを活用しつつ、新たなニーズに応えられるビジネスモデルの構築をしていきます。
成熟した市場で陳腐化してしまったと思われる製品やサービスも、軌道修正をかけることで革新的な取り組みに変化させることができます。
マーケットに合わない事業をゼロにする
マーケティングとセールスの壁を取り払う
日本初、顧客のPMF(プロダクトマーケットフィット)を行う会社。
PMFコンサルティングで市場にマッチした新記事業を立ち上げる。
なぜ新規事業が必要なのか?
既存事業はもちろん重要ですが、社会情勢や顧客ニーズは常に変化しています。
そして競合他社も革新的な取り組みに向けて、日々チャレンジをしているはずです。
市場での優位性を確保し、安定的に収益を出し続けるためには、変化が求められます。
新規事業とは、その変化への対応なのです。
高速化するビジネスのライフサイクルの中で、新規事業は企業や人材の成長を促進し、市場での競争力を高めることに直結します。
企業の成長
新規事業の展開に伴い、企業は新たな市場やリソースを得ることになります。
それは新規顧客層や販路を開拓し、企業が獲得する利益を向上させます。
また、新規事業が社内を強化する側面も強く、例えば新規事業への取り組みを契機として、新技術を導入するパターンがあります。
最近の例で言えば、デジタルトランスフォーメーション(DX)を実施する企業が圧倒的に増えました。
ちなみに、増加の背景には国がそれを推奨していることが挙げられます。
経済産業省では2018年よりDX推進ガイドラインやDX推進指標を提示し、国内企業のDX化を積極的に推進しています。
2022年9月に出された産業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進施策についての中でも以下のように述べています。
あらゆる産業において、新たなデジタル技術を使ってこれまでにないビジネス・モデルを展開する新規参入者が登場し、ゲームチェンジが起ころうとしています。こうした中で、各企業は、競争力維持・強化のために、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)をスピーディーに進めていくことが求められます。
つまり、国として企業のデジタル化を求めており、それを大々的に支援すると表明しているのです。
こうした国の施策に合わせて社内改造を実施したり、新規事業に取り組んだりすると、これまで資金的に難しかったチャレンジも、国からの補助金や助成金を受け取れる可能性があります。
余談ですが、こうしたパターンでは新規事業やベンチャーを支援するアクセラレータープログラムが充実していることもありますので、有効に活用していきましょう。
人材の成長
新規事業に取り組むと、企画のアイデア出し、市場のマーケティング調査、効果検証など様々なプロセスを経験できます。
通常の業務とは異なるビジネス感覚を磨く貴重なタイミングであり、ビジネスセンスを伸ばすための人材育成の千載一遇のチャンスとも言えます。
当然ながら新規事業の挑戦には多くの困難が立ちはだかります。
そうした壁を乗り越えて社内人材は大きく成長し、会社の将来を担う有望な従業員へと育つのです。
また、新規事業では社内人材では賄いきれない専門分野を、スキルを持った外部の企業や人材と業務提携するパターンがあります。
そこで得られる新鮮な刺激もまた、人材育成に役立つポイントとなります。
<人材が成長するポイント>
- 新規事業開発のさまざまなプロセスを体験して得られる経験
- 課題や困難を乗り越えるための戦略的思考と行動の経験
- 日々の意思決定で得られる失敗と成功の経験
- 社内外の人間関係から得られる多面的なフィードバック
新規事業の開拓に適した時期
新規事業はいつでも立ち上げることができます。
しかし、事業の成功確率を上げるなら、立ち上げの時期を考慮するとよいでしょう。
企業の成長サイクルは主に創業期、成長期、成熟期、衰退期に分けられます。
自社が新規事業に取り組む際、今どのフェーズにいるのか考えてみましょう。
創業期
時期適正=△
会社を起業して数年以内の状態が創業期にあたります。
そもそも創業期こそ新規事業を開始したタイミングとも言えるので、まずはこの事業の地盤を固め、安定軌道に乗せることに専念した方がよいでしょう。
成長期
時期適正=◯
既存事業が軌道に乗り、立ち上げ時期のバタつきが収まった頃にあたります。
人員、資金面ともに安定し始めており、メンバーのモチベーションも高い傾向にあります。
投資する余力も生まれ始めるため、積極的にチャレンジしてよいタイミングです。
成熟期
時期適正=◯
既存事業に対してメンバーも経験値を積み、業績も安定している状態です。
一方、会社の成長基調を失わないためにも、新規事業に積極的に取り組むべき時期とも言えます。
守りに入らず、攻めの姿勢で新規事業に挑戦することをオススメします。
この時期であれば、メンバーも事業経験を豊富に積めており、新規事業に取り組むためのリソースも十全にある事が多いため、確度の高い取り組みが期待できるでしょう。
衰退期
時期適正=×
衰退期は会社の人材、資金共に余裕がなく、既存事業の他にリソースを回す余裕がありません。
むしろ、新規事業に取り組むチャンスを逃したために衰退期に入ってしまったとも言えます。
この事業からどのように撤退するかを検討していきましょう。
そして清算が終わった後、新たなチャレンジに向かう準備に入るべきです。
マーケットに合わない事業をゼロにする
マーケティングとセールスの壁を取り払う
日本初、顧客のPMF(プロダクトマーケットフィット)を行う会社。
PMFコンサルティングで市場にマッチした新記事業を立ち上げる。
新規事業の考え方とは
新規事業を考えるに当たっては、そのアイデア出しに苦戦するかもしれません。
特に新規事業に初挑戦するメンバーは最初にこの壁にぶつかることでしょう。
そこで役に立つのが、アイデアを発想するためのコツやフレームワークです。
他社の成功事例を模倣する
新規参入を目指す市場がある程度固まっている場合、その領域で成功している競合他社のビジネスモデルや製品を分析してみましょう。
競合がなぜその市場で勝ち得ているのか、市場や顧客のニーズ、ペルソナなども踏まえてマーケティング調査をしていきます。
その上で、模倣できる点を探し、自社のサービスにも落とし込みながら、競合に勝てる新規事業なのか検討を進めていきます。
この段階では以下のようなフレームワークが役に立つでしょう。
- 3C分析(Customer、Company、Competitor)
- ペルソナ分析
- コピーキャットアプローチ
事業と事業を掛け合わせる
新規事業のアイデアを考える=全くの0→1を考えないといけない、と思い込みがちですがそんなことはありません。
大事なことは「市場(顧客)に受け入れられる新しい発想」を生み出すということです。
つまり、既存事業を組み合わせて新しい事業に展開することも立派な新規事業のアイデアなのです。
こうした掛け算の発想をするためには、様々な新規事業の事例を調べたり既存のビジネスの成立背景を調べたりすることが役に立ちます。
世界中で生み出され続けている新しいビジネスがそのヒントを持っています。
一切関係ないはずの分野同士の掛け算がイノベーションを起こすこともあると覚えておきましょう。
活用できるフレームワークとしては以下のようなものを見てみましょう。
- オズボーンのチェックリスト / SCAMPER(スキャンパー)法
自社や市場、環境を分析する
自社の状況や市場、環境を分析することで競合他社との比較をしながら戦略を考える方法です。
競合他社や自社の現状を捉えつつ、近い将来のマーケットの変動なども想定しながらターゲットを明確にしていきましょう。
以下のようなフレームワークが役立つのではないでしょうか。
- VRIO分析
- SWOT分析
- 3C分析
- 4P分析
新規事業アイデアの考え方!思考に便利なフレームワークまとめも参考にしてみてください。
新規事業を成功へと導くために必要なもの
新規事業で必須となるリソースがヒト・モノ・カネです。
これらのリソースが1つでも足りなくなると、撤退に直結します。
軌道に乗るまでにどれだけの資源が必要か、もし途中で足りなくなったらどのように資源を補填、調達するのかなどを事前に計画しておきましょう。
ヒト=人材
- リーダーシップをとってチームを牽引する人材はいるか?
- 新規事業の準備、運用、展開に必要なスキルは何か
- 内部人材で対処できるのか?外部人材を登用するのか?
モノ=資材
- 新規事業の開発に必要な資材は十分にあるのか?
- 新規事業に活用できる資材はあるのか?
- どこから資材を調達するのか?
カネ=キャッシュフロー
- 全体でどのくらいの予算が必要なのか?
- 予算をどこから確保してくるのか?
- キャッシュポイントをどこに設けるのか?
新規事業に取り組む準備
新たな発想は誰でも生み出すことができます。
今すぐにできないとしても、意識的に訓練する気持ちがあれば大丈夫です。
脳は筋肉と同じように、使うほどに鍛えることができます。
常日頃から興味関心を広げる意識づけをしたり、連想ゲームをしてみたりすることが、根本の発想力の土台となります。
人間の脳というのは不思議なもので、興味があるものや意識しているものには貪欲に反応する一方、関心がないものには全く反応しません。
まずは自社の事業以外にも幅広く興味関心を持ち、能動的に情報に触れていく姿勢を養うことが豊かな発想力を育てるためには必要不可欠です。
まずは身の回りにどのような解決すべき不平、不満、不便というような「不」があるか、世界的な課題であるSDGsから考えられることはないか、など関心を持つことから始めていきましょう。
それができれば、必ず新規事業のアイデアを柔軟に発想できるような能力が育つことでしょう。
PMFコンサルティングは新規事業に強い
新規事業とは、誰もが取り組める一方で、専門的な知見を持って戦略的に参入しなければ1年、2年と経たずに撤退を余儀なくされるものです。
PMFコンサルティングでは新規事業の立ち上げに必要な要素を的確にサポートします。
抽象度の高いお悩みも要素ごとに分解して具体的なタスクまで落とし込み、その後の実行プランを整えます。
新規事業立案からマーケティング調査、事業運用まで伴走しながら成功確度を高めていきましょう。
まずはこちらからご相談ください。