日本初、顧客のPMFを行う会社

COLUMN PSF(プロブレムソリューションフィット)とは?PMFとの関係性を解説します

PMFコンサルティング 2023.02.10

PSF(プロブレムソリューションフィット)とPMF(プロダクトマーケットフィット)は似た表現ではありますが、目指すポイントが異なります。それぞれにどのような役割があるのか、何をすればそれが達成できるのかについて解説していきたいと思います。

まずはPMF=Product Market Fitから説明していきましょう。

PMF(プロダクトマーケットフィット)とは

PMF(プロダクトマーケットフィット)とは「Product Market Fit」の頭文字を取った言葉です。

  • Product:製品(サービス)が
  • Market:特定の市場に
  • Fit:適合している状態

ビジネス的な表現に寄せると、「カスタマー(顧客)のニーズを満たす製品(サービス)を提供し、それが適切な市場に受け入れられている状態」を意味します。

PMFの概念はアメリカのソフトウェア開発者であり投資家のマーク・アンドリーセン氏によって提唱され、現在ではスタートアップの成否を左右する要素として世界中の起業家に認知されています。

PMFを達成するには「カスタマー(顧客)のニーズを満たす製品」と「適切な市場を選択し、受け入れられていること」の両方が揃っていることが、PMFの達成には必要不可欠な条件です。

いずれかの要素が欠けてしまうと、PMFの達成が困難になり、事業が成功しにくい状況に陥ると考えて良いでしょう。


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PMFが注目される理由

昨今PMFの考え方が注目されるようになった背景には、国が掲げる経済復興へのアクションが関係していると言えるでしょう。

具体的には、2022年、政府は日本経済の成長を取り戻すために必要不可欠な持続可能な経済成長を実現するべく、新しい資本主義に向けた重点投資分野の一つに「スタートアップへの投資」を掲げました。

岸田政権は2022年をスタートアップ創出元年と位置づけ、勢いのあるスタートアップの創出とその支援こそが、日本経済復興の鍵であると定めています。

そして、この政府の動きと連動し、経団連は2022年3月、「スタートアップ躍進ビジョン」を発表し、以下のように言及しています。

わが国の持続的成長の新たな牽引役として、グローバル級のスタートアップを継続的に創出することを目標とする。GAFAM(Google、 Amazon、 Facebook、 Apple、 Microsoft)のように既存産業にとって代わりグローバル市場を席巻するスタートアップは、全体の中のほんの一部であることから、母数すなわち起業の数自体を格段に増やすとともに、成長のレベルも引き上げる必要がある。

具体的には、5年後(2027年)までにスタートアップの裾野、起業の数を10倍にするとともに、最も成功するスタートアップのレベルも10倍に高める。目標を確実に達成するために、それぞれについて以下のKPIを設定し、実現状況をモニタリングする。

【参照:団連:スタートアップ躍進ビジョン(2022-03-15)

上記のように、日本ではスタートアップ振興の動きが活発化していますが、新規の事業は初期段階から積極的に投資を受けていくため、赤字から始まり、経営資源が尽きる前に、商品が市場で受け入れられている状態を達成していくことが必要となります。

その“商品が市場で受け入れられている状態”の達成指標こそがPMF(Product Market Fit)=プロダクトマーケットフィットなのです。

つまり、事業が成功するか否かはPMFを達成できているかどうかにかかっています

PMFの要素が欠けた状態で製品の販売規模を拡大すると、製品を購入するカスタマーを得られず、やがて人材や資金のリソースが尽きてしまい事業撤退を余儀なくされます。

だからこそ、PMF : Product Market Fitを達成することが事業の成功に直結すると考えられているのです。

PSF(プロブレムソリューションフィット)とは

PSF(プロブレムソリューションフィット)とは、Problem Solution Fitの頭文字を取った言葉です。

  • Problem:顧客が抱えている問題・課題に対して
  • Solution:自社が提供する解決策が
  • Fit:適切に機能していること

つまり、PSFの達成=顧客が抱える課題を的確に把握し、その課題を解決する最適な方法を提供している状態です。

PSF達成のための4ステップ

1、顧客の課題およびその解決策の特定

そもそもユーザーが抱える問題や課題はなんなのか?その特定を進めていきましょう。
顧客が抱えている「不」はなんなのか、具体的にとらえていきます。

こうした思考には各種フレームワークを用いることも効果的です。


【参考記事】
新規事業アイデアの考え方!思考に便利なフレームワークまとめ

2、試作モデル(プロトタイプ)の作成

特定した顧客の課題に対して、その課題を解決する試作モデルを作成します。

この時、可能な限り事前に顧客と対話(ソリューションインタビュー)を行い、試作モデルに実装する機能を厳選しておくことが重要です。

このプロセスが抜けてしまい、想像力だけで進んでしまうと、課題解決に必須となる機能が顧客に本当に受け入れられているのかどうかの判断が付きにくくなってしまいます。

3、試作モデル(プロトタイプ)の検証

プロトタイプを実際に顧客に使ってもらい、「使い勝手の良さ」「目的達成までの快適さ」などをヒアリングします。このプロダクトインタビューは、試作したプロダクトが課題を解決できるかどうかを見極める重要なプロセスとなります。

4、フィードバックをもとに改善

プロダクトインタビューをもとに、顧客からマイナス評価だったポイントを改善していきます。
「検証→フィードバック→改善」の流れを繰り返すことで、PSF達成を目指しましょう。


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PSFとPMFの違い

PSFとPMFは似ているようにも見えますが観点が少し異なります。

  • PSF(Problem Solution Fit)=顧客の課題に、提供する解決策が合致しているか 
  • PMF(Product Market Fit)=提供する製品が、その市場に合致しているか

PSFは製品が顧客の課題を解決できているかどうかを見ています。
一方で、PMFは作られた製品が市場にマッチしているかどうかを見ています。

顧客が抱える課題を解決できない製品は当然ながら市場でもマッチしません。
PSFに到達していない=PMFに到達することもできないということです。

なのでまずは、PSFを達成することが前提条件として求められます。

PSFを達成するだけではダメ?

顧客の課題を解決できるのであれば、PSFを達成すれば事業としても成功するのではないか?という指摘があると思います。

確かに顧客の課題解決のフェーズまで踏み込んでいるPSFの状態は重要な成功要素です。ただし、市場への適合、競合との差別化など、考えなければならない変数がまだ数多く残っています。

顧客の課題を解消できるプロダクトは世に五万とあります。

しかし、そこからそのプロダクトを磨き上げ、独自の価値を作り上げて初めて市場での優位性が生まれ、PMFの状態へと進化していくのです。

つまり、PSFは事業成功に欠かせない要素ではありますが、それだけでは十分ではないのです。

PMF達成までの4ステップ

それでは、どうすればPMFを達成することができるのかに入っていきます。

PMFを達成する前提として、まずPSF(プロブレムソリューションフィット)=Problem Solution Fitを達成している状態であるという点が肝心です。

前述のステップでPSFを達成してから、次のPMF達成手順に入りましょう。

1、MVP(Minimum Viable Product)を構築する

PSF(プロブレムソリューションフィット)に至るまでに得た知見をもとに、Minimum Viable Product(MVP:実用最小限の製品)を構築します。

これは単に機能が少ないという意味ではなく、目的を達するに必要な最小限の機能を意味しています。

つまり、新たな製品として顧客が満足する、もしくは競合とは異なる新たな価値を持った製品であることが前提です。

2、MVPを想定顧客に使用してもらう

構築したMVPを想定顧客に使用してもらい、実際の市場やニーズとのフィット感を確かめます。

市場に投入することで新たなフィードバックを獲得し、次の検証材料としていきます。

この時のフィードバックはアンケートでも良いですし、ユーザーと関係構築ができている間柄であれば直接インタビューをする方法も非常に効果的です。

アンケートやインタビューによる定性分析

実際に新製品を使用してもらい、そこから何を感じたか分析していく手法です。
使用していく上での顧客目線でのメリット・デメリットがわかるように質問を組み立てます。

ポジティブなフィードバックは嬉しく、ネガティブなフィードバックは悲しくなるかもしれません。

しかし、ここで重要なのは改善点を洗い出してくれるネガティブフィードバックです。
嬉しい方ばかりを見ず、真摯に受け止めて改善に活かしていきましょう。

<質問例>

  • この製品(サービス)に価値を感じましたか?
  • 特に価値を感じた機能はなんですか?
  • どのような点に価値を感じましたか?
  • 不要もしくは不満と感じた機能はありましたか?
  • 不要もしくは不満と感じたのはなぜですか?
  • この製品(サービス)を他者に薦めたいと思いますか?
  • どうすればこの製品(サービス)を買いたいと思いますか?

質問内容は開発のフェーズや改善状況を見ながら調整していきましょう。

顧客目線から得られる貴重な改善フィードバックを活かすことでよりマーケットにフィットしたプロダクトへと進化させることが可能になります。

3、MVPのフィードバックを検証する

顧客から集まったフィードバックをもとに、機能の過不足を解消しつつプロダクトの完成形を目指していきます。

  • 実際に使用したことで、想定と異なる部分があったか?
  • もしあったなら、それはどのような違和感だったか?

など「良かった点」「悪かった点」を具体的に洗い出していきましょう。

4、検証結果をもとに改善、反映する

検証フィードバックから出たネガティブな要素を解消することは勿論ですが、機能の充実を図ることもまた重要です。

機能を刷新していく中で、こうすればもっと顧客ニーズを満たし、満足度を高めることができると判断された機能は積極的に反映していきます。

実際に製品を稼働させて初めて気が付くことも多いため、ここで得られた検証結果を効果的に活用していきましょう。

この繰り返しの中で、プロダクトが洗練され、ユーザーのニーズを満たし、市場に受け入れられ、PMFを達成できるのです。

AARRR指標による定量分析

AARRRでは試作モデルや後述するMVPの提供により生じた「ユーザー獲得」から「収益発生」までをフェーズ毎に追うことができる指標です。

  • Acquisition(獲得):ユーザーの獲得
  • Activation(活性化):サービスの利用開始
  • Retention(継続):サービスの利用継続
  • Referral(紹介):他ユーザーへの紹介
  • Revenue(収益):収益化

各段階での継続率や離脱率を分析することで、解決すべき課題を浮き彫りにします。
ただし、製品やサービスは売って終わりではありません。

1年、2年と継続利用していただけるよう、利用満足度を高めるサポートの提供が必要です。
PMFを達成するためには、以下の3つの要素を循環させることが重要です。

  1. マーケティングで見込み客を集める
  2. セールスで獲得する
  3. カスタマーサポートで逃さない

この3つのポイントの循環がPMFを目指す事業運営を目指す上での要となります。


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PMFの検証方法

次のフェーズとして、事業がPMFを達成できているのかどうか、きちんと検証しなければいけません。

PMFの検証方法として有効な手法を以下に3つまとめました。

Product / Market Fit Survey

Product Market Fit Surveyとは、PMFを定量的に把握するための調査方法です。

起業家のショーン・エリス氏によって考案されたものであり、その調査方法はいたってシンプルです。

ユーザーに対して以下の質問をします。

<質問>
Q:そのプロダクトが使えなくなったらどう思いますか?

<回答選択肢>
非常に残念
やや残念
・残念ではない
・該当しない(製品を使用していない)

この4つの選択肢のうち40%以上が 「非常に残念」と回答を得られた場合、そのプロダクトは今後も継続して顧客を掴むことができると判断され、PMFを達成していると考えられます。

NPS(Net Promoter Score)

NPSはNet Promoter Score(ネットプロモータースコア)の頭文字を取った言葉であり、カスタマーのロイヤリティを計測するための指標です。

ビジネス戦略家のフレッド・ライクヘルド氏によって提唱されました。
NPSの計測にはカスタマーに対して以下の質問を投げかけます。

<質問>
Q:その企業および製品を友人や同僚に薦める可能性はどの程度ありますか?

<回答方法>
0~10の11段階で回答
その回答をもとに以下の評価を行います。

  • 0~6:批判者 商品に不満があり、悪評を広める恐れがある
  • 7~8:中立者 商品に満足しているが、他社製品でも問題ない
  • 9~10:推奨者 ロイヤリティが高く、自ら購入と他者への推奨を行う

<NPSスコアの計算式>
推奨者の割合 ― 批判者の割合=NPSスコア(-100%〜100%)

NPSは業績との相関性もあるロイヤリティ測定指標です。

類似する指標に「顧客満足度(Customer Satisfaction)」がありますが、顧客満足度よりも、NPSの方が「業績との相関性」が高いと言われています。

リテンションカーブ

リテンションとはマーケティング分野において「維持」や「継続」を意味します。

リテンションカーブはリテンション率を縦軸、プロダクトのリリースからの期間を横軸に設定したグラフを指します。

契約された製品やサービスが継続利用されるとリテンションカーブは横ばいとなりますが、契約解除された場合は下降していきます。

リテンションカーブが横ばいになる=継続利用の価値を認めてもらえている

PMFを達成しているプロダクトはカーブが横ばいになり、一方でユーザー数を失ったプロダクトのリテンションカーブは下降を続け、最終的にゼロになっていきます。

PMFコンサルティングで事業のPMFを達成する

PMFコンサルティングでは、お客様のプロダクトがどうすれば市場に最適化され、PMFを達成できるのかを伴走し、考えていきます。

新規事業、既存事業を問わず、事業に停滞感や行き詰まりを感じている方は、まず一度PMFコンサルティングまでご相談ください。


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